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銀座一流クラブのママは、なぜ自分の娘をホステスにさせたくないのか。

菓子折りを持って挨拶に来てくれた母


お父様としては、さぞかし困惑なさっておられることと心中お察し申し上げます。

10代、20代の女性を対象にした「憧れの職業は?」という調査でキャバクラ嬢が上位にランキングされているとのこと。キャバクラに限らず夜の世界を華やかに描いた本やドラマが人気を博していますので、その影響でしょうか。ホステスは、きれいに装って、たくさんお給料のもらえるオイシイ職業だというイメージが若い世代に定着しているようです。

 実際、私が銀座で経営しているクラブ「ル・ジャルダン」のホームページにも働きたいと考えるお嬢さんからのアクセスが月に100件以上もあります。
私どものお店では容姿端麗はもとより、気品や知性、コミュニケーション力を備えた人材を求めておりますので審査は厳しく、書類選考を経て面接にこぎつけることができる方は10人ほど。
その中から仮採用となるのが5人くらいなのですが、2年以上続く子はまれです。
このことからもわかるようにホステスは決して楽な職業ではありません。

私は一人の母として、もし自分の娘が華やかさだけに憧れてホステスになりたいと言い出したら反対します。一番恐ろしいのは金銭感覚が狂ってしまうこと。
夜の仕事でまとまったお金を手にした後、さらに将来のことを考え、現実と虚栄の世界との境界線をきちんと引くのは至難の業です。
また、夜の世界を極めるためには普通のお嬢さんが抱く男性観を捨てる必要があります。
今の時代でも良家に嫁ぐことの決まったホステスは過去を隠すのが常ですが、その理由は殿方が一番ご存じなのではありませんか? 娘さんにはまず、そうした厳しい現実を言って聞かせる必要があると思います。

 とはいえ時代の風潮に感化された娘さんがホステスに憧れる気持ちを止めるのは容易なことではないでしょう。闇雲に反対すれば隠れて勤め始めてしまうかもしれませんね。
そうした最悪な事態を防ぐためには普段から親子間におけるコミュニケーションを良好にしておくことが大切なのです。

 そもそも娘さんはなぜホステスになりたいと思っているのでしょう? お金が欲しいからというのなら、まずその動機を探らなくては。もしかしたら男性に貢いでいるのかもしれませんよ。
自分の娘がどんな悩みを抱えているのかも知らず、頭ごなしに反対をしても説得力に欠けてしまいます。

私がこの世界に入ったのは17歳のときでした。親には心配をかけましたが、母はそれならそれでと店に菓子折りを持って挨拶に来てくれました。
「絶対に頑張り抜く!」と私も心に誓ったことを覚えています。
大学教授をしていた父は私の大学進学を望んでいましたが、やはり最後には納得してくれました。打ち明けることができたのは、自分は親に信頼されているという自負があったからです。

 そこで改めてお父様方に伺いたいのですが、あなたは家族を愛し、妻や子供ときちんと向き合ってきたといえますか?

 胸を張ってイエスとお答えになるのであれば心配はいりません。
親から充分な愛情を注がれ、まっすぐに育ったお嬢さんなら、多少道から逸れる時期があっても軌道修正をする力を育んでいます。一方、自分勝手で横暴な父親のいる環境で育ったお嬢さんは、満たされない不安定な心を抱えたまま自暴自棄で自虐的な生き方を選んでしまいがちです。

 あなたが前者の場合なら、娘さんを信じ、よき理解者となって少しの間見守ることをお勧めします。勤める店が危険でないかどうかを見極めてあげるくらいでいいでしょう。
けれど後者の場合には、まずはきちんと娘さんと向き合い、親子の絆を固めることが先決だと思います。

【銀座ル・ジャルダン オーナーママ 望月明美=文】


昔、バーテンダーで生計を立てていた時期があった。
横浜でも有数の繁華街とあって深夜の1時頃を過ぎると仕事終わりのホステス達と"アフター"と言われる営業後に客と行動を供にするホステスたちが店に訪れていた。

8割方ホステスが来店する店では数々のドラマを見させて頂いたのが今となっては良い思い出になっている。

個人的な会見だとホステスになること自体は何も偏見や意見はない。
むしろ、一度は経験してみることをお勧めしたい。

ホステスの世界は明確だ。
自分の価値が全て、売上→給料になるからだ。
それは、美貌なのか性格なのか・・・、決して前途だけでないのがこの世界に見る面白さだ。

しかし、そう簡単に成り上がれるような世界ではない。
顧客に好かれるために"同伴"や"アフター"さらには、時事情報(政治・株ネタ等)までを把握しながら接客し、生活する事は、無邪気なOLとは比較にならないほどリアルな世界を生き抜いていることだろう。

しかし、これらを実践しているのは"ほんの一握り"のホステスだけだ。

収入だけを考えれば、普通の会社勤めでは考えられない程の金額を手に入れることが出来る。
(入店直後から一般企業での初任給の2倍~3倍額は手にすることが出来る)

しかし、それによって金銭感覚が崩壊するのは目に見えている。
(勿論、明確な意思の元に身を投じ、節度ある生活する者も居る。)

20歳そこそこの未だ"お金の意味"を知る前に夜の世界に踏み込み、
まともな金銭感覚で居ることの方が明らかに無理な話ではある。
20代ならまだしも、10年、20年以上を夜の世界に身を投じているのに、
自分の店も持たず、にフワフワと浮いた生活をし続けている者も居る。

これはとても嘆かわしい事だ。

私の知人に3人ほど女性社長がいる。
勿論、元ホステスで30代そこそこにして独立した野望家達だ。
同じ職種で独立した者もいれば、一端の企業を作り上げた者もいる。
彼女達がこぞって言うのは"あの時代の金銭感覚は狂っていた"と。
しかし、本当の"お金の意味"や"自分の夢"というものに気付き、明確になった時に、これほどオイシイショクギョウはない事に気づいたのだと言う。

今それは結果となって実を結んでいる。

男女差別の無い社会だとは言われているが、それは無い。
地位や給料から見ても、それらは明白な世の中だ。

しかし、独立を意識した時にホステスという職業が彼女達には"魔法のランプ"に変わったのだろう。

全てのホステス達にはその"魔法のランプ"が備わっている。
しかし、"魔法のランプ"であることに気付かない者もいれば、
気付いているのに使わない者、その眩しさに見入ってしまう者もいる。


望月明美氏が言うように"なぜホステスになりたいのか"が明確でないと、
ホステスでいることの目的意識を忘れ、その世界に飲み込まれてしまう・・・
むしろ、圧倒的に大半がそうなってしまう者達を目の当たりにしてきたからこそ"自分の娘はホステスにさせてたくない"のだろう。