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好業績と賃上げ-なぜ業績がいいのに企業は給料アップを渋るのか。

賃上げ率昨年比たったの0.01%増

-なぜかくも賃上げを渋るのか。

その理由は賃金(月給)を上げると固定費の増加につながり、それよりは利益の増減で変動する賞与にに反映したほうがコストアップにつながらないかである。
「賃金を上げると前期に払った月給に今期も上乗せされることになり、それだけは勘弁してほしいというのが経営者の大勢」なのである。

なぜ経営者はそこまで脅えるのか。

「投資した商品の陳腐化が早く、設備投資や研究開発投資も馬鹿にならない。絶対的に必要なコストを確保するために人件費アップにはきわめて敏感な体質になっている」と指摘する。(大手電機労組幹部)

それだけではない。
実は人件費コストを抑制する目に見えない仕掛けがある。
年齢別の賃金カーブを見ると、新卒入社以降、35歳から40歳ぐらいまでは給与は右肩上がりで上昇するが、40歳以降10から15年の上昇率が近年低くなっている。

なぜか。

多くの企業では成果主義賃金を導入しているが、ちょうどこの年代で達成すべき能力・成果の基準が高く設定されているためだ。
結局その基準を超えられないために全体の人件費資源もあがらない構造になっている。

賃上げなき好業績の結果、付加価値額に対する人件費率を表す労働分配率も1990年代末の65%から、ここ数年は米国の水準より低い60%を割り込むなどの低下の一途をたどっている。
反面、財務省の法人企業統計調査によると、付加価値に占める社内留保、役員報酬、配当金が増加。
また、07年度に日本経済新聞社が集計した全上場企業の配当総額は約7兆6000億円と過去最高を更新、自社株買占めを含めた株主への「総配分」も過去最高を記録し、純利益の5割近くに上る。

株主重視から人件費への配分を呼びかける労組に対し経営者は「株価が安くなればハゲタカにいつ買収されるかわからない。従業員を守るために自己防衛が必要というのが口癖」という。(電機労組幹部)

従業員重視のために利益を株主に、、、という理屈をあなたは信じるだろうか。【ジャーナリスト・溝上憲分=分】